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内藤邦雄の「mid NAITO cafe ~ミッド ナイト カフェ~」

1cm 100万円

そういえばボクがこの業界に入って18年。4月からは19年生になる。
カルテモを起業する前はある翻訳会社で10年サラリーマンをやっていた。

翻訳会社での営業マン時代、あるお客様から来てほしいと連絡があった。
段ボール箱につまったたぶん30冊くらいのマニュアル翻訳見積り依頼。
「実はこれを翻訳しようと思っているんですよ」とお客様。
「見積りもらって翻訳するのとしないのと分けていこうとおもっているんです」とも。
入社2年目営業マンの私は「ぜひ!お見積りさせてください」と勢いこむ。

今でこそ、データがあれば結構簡単にかつ正確に見積りができる。
でも当時はやっと Windows が出始めた頃。今のようにデータでのやり取りはまだ一般的でなかった。
翻訳の見積りも原稿(紙)を見て、カチャカチャと呼ばれるカウンターで行数をカウントしアベレージで
ワード数を出す方法だった。ちなみにカチャカチャとは今でも交通量調査とかで使われている銀色のカウンター。
ベテランのコーディネータはマイカチャカチャを両手に持って通常の倍のスピードでカウントする。

「じゃあ、見積りをお願いしますね」とお客様。
「ありがとうございます」とボク。「これで2日は見積りと格闘だな」とうれしい覚悟を決める。
「でもナイトーさん。だいたいこのくらいの量だといくらくらいになりそう?」
この質問は駆け出しとはいえ翻訳のプロであるボクの心をくすぐった。
「ホントの概算ですけど、だいたい1cm 100万円って感じですね」と応えた。
お客様は一瞬きょとんとしたけど、すぐに笑顔を浮かべ、机からものさしを取り出した。
そしてなんと、30冊のマニュアルを重ねてつみあげものさしで図り始めた。
「30cmくらいかな」
「まあ、ざっくり3,000万円というところですね。」とボク。
お客様もボクもお互い笑顔を浮かべ、ボクはダンボールを車でもって帰った。

結果。。。
ボクがお客様に提出した見積りは2,700万円。
お客様は「ナイトーさんほぼあたりだったねぇ」と感心してもらった。

実は、1cm 100万円には理由がある。
マニュアルとかの紙質だとだいたい 1cm で100枚(200ページ)くらい。
1ページの翻訳量はさまざまだけど、平均すると5000円くらいになる。
そうすると「1cm 100万円」は妥当な金額。
「1cm 100万円」というとグラム売りみたいだけど、実は経験則にもとづく数字なのだ。

でも最近はコストダウンが進んでいるから、「1cm 80万円」くらいかも。。。
by cultemo | 2010-03-12 16:34 | 仕事

翻訳とローカリゼーションの株式会社カルテモの 社長 内藤邦雄 が日々考えたことを語ります