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内藤邦雄の「mid NAITO cafe ~ミッド ナイト カフェ~」

仙台水沢紀行(4)

「大穴取ったらアイスおごるって言っただろぅ。」
そのオジサンは、興奮気味に食堂のおばちゃんに言うのであった。

本馬場の裏の心そそられる食堂街。
昔はたくさんお店があったのだろう。
いまは2店舗で張り合っている。

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ボクとあっちゃんはビールとモツ煮込み。
隣のテーブルでは、オジサンたちが競馬検討中も、半分もヒアリングできない。

ファンファーレがなって、レースが始まる。
「オレ、このレース買ってんだぁ」と、ひとりのオジサンが本馬場にダッシュ。
レースが終わり興奮気味のオジサンが戻ってくる
「〇〇(騎手の名前)のこと、ゴール前で怒鳴りつけてやったよ。どうかなぁ、もしかしたら差し切ったかもしんねぇ。」
場内にレース結果が流れる。ある馬券が 50倍の高配当。
「もしかしたら、オレ買ってんぞ!あった、当たった!」
オジサンは、なぜか食堂に行き「好きなアイスとれってば。」と絶叫。
食堂のおばさんたちは、めいめいにアイスを手にとる「あら、いいの?ご馳走様」。
満足そうなオジサンは、仲間たちに「やっとアイスおごれたよぉ」としみじみ語る。
周りのオジサンたちも口々に賞賛の声。(ほとんど聞き取れない)

ボクとあっちゃんは、幸せな気分で食堂を後に本馬場にもどる。

仙台水沢紀行(4)_a0076693_1056131.jpg


次のレースが始まる。ゴール前では大歓声。そこには地方も中央もない。
蹄、呼吸、騎手の声、そして鞭の音。地方競馬は音が近い。
これぞ「競馬」、最高の贅沢。

帰りの仙台までの新幹線の中、ビールと地元銘菓「パパ好み」をつまみにビールで反省会。
「そういえば、盛岡競馬場が外側がダートで、内に芝の米国式競馬場なんだよね?」
「盛岡は、一度行ったことある」とあっちゃん。
「よし!水沢の借りを盛岡で返そう。そして食堂のおばちゃんにアイスおごらなくちゃ。」
ボクとあっちゃんは二人、固く誓い合うのであった。

沈みかけた夕日が東北の山々を映しだす。
美しい車窓を眺めながら、ふと数時間前の楽しい時間を思い出す。
気高き競馬場と人々のぬくもりにボクはまた元気をもらった。


(終)






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by cultemo | 2014-10-08 10:59 | 食・酒・店

翻訳とローカリゼーションの株式会社カルテモの 社長 内藤邦雄 が日々考えたことを語ります

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