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内藤邦雄の「mid NAITO cafe ~ミッド ナイト カフェ~」

心の旅

とあるパブレストランでお客様と食事会。
多種多様なお酒とすばらしい料理に舌鼓。

モニターでは桑田佳祐のライブ DVD が流れている。紅白にわかれなつかしの歌を歌う「ひとり紅白歌合戦」という企画。
たくさんのなつかしい歌が流れるなか、「心の旅」がはじまる。
1973年のチューリップによるナンバー。なつかしい、というより私が5歳のころの歌だから、リアルタイムで知るよしもない。
でもこの歌を聴くと思い出す青春のひとこま。。。

高校1年の夏休み、仲のいい友人4人とキャンプに行った。
「そうだ!夏といえば、キャンプじゃん。」「じゃあ、明日から行こう!」と決まった、男4人のキャンプ。
何の計画もなく、野球部の私とサッカー部の友人の休みが奇跡的に重なり、休みで暇をもてあましていた2人の友人を誘い急遽実現した旅行。
それぞれに家の鍋やら米やら毛布やらをもちより、千葉のあるキャンプ場に予約もしないで向かい、偶然空いていたバンガローを借りる。
4畳半ほどのバンガローに荷物を置き、することも無くボーッとしていたらすぐに夕方に。
「キャンプといえばカレーだろ!」と、適当にカレーを作り始め、誰かが持ってきた飯盒で米を炊く。すっかり暗くなってしまったほとんど人にいないキャンプ場で、それなりに出来上がったカレーを食べていると、ちょっと離れたよく見えないところの広場に15人くらいの男女が集まりだした。
「なにやんだろ、あいつら」私たちはひねくれた瞳で、キャッキャいっているその集団をうらやましげにみていた。

「あーー、だから今夜だけはー」
弾き語りのギターとともに流れてきたその歌こそ「心の旅」だった。
音楽の教科書に出ていたまさに「青春!」の歌だ。

「旅立つ僕の心を・・・」
広場の男女は大合唱で盛り上がっている。よく見るとキャンプファイヤーの火がゆれている。
楽しげな歌声の一方、男4人で「結構このカレーうまいな」とさびしくも悲しいキャンプライフを満喫していた私たちには完全なる敗北感が襲う。

「もしも許されるなら、眠りについた君をポケットに詰め込んでそのまま連れ去りたい」
「あっ、いいなー」と誰かが本音を漏らす。「きっとこっそり手とかつないでいるカップルとかいるんだろうなあ」と誰かが妄想する。
その時、私は宣言した。
「オレ、いつか心の旅をキャンプで歌う!」

あれから25年。「キャンプで心の旅を歌う」という夢は果たされていない。
でも思えばあのキャンプこそ、私にとっての「心の旅」だったのかもしれない。
by cultemo | 2009-07-01 18:07 | つれづれ

翻訳とローカリゼーションの株式会社カルテモの 社長 内藤邦雄 が日々考えたことを語ります

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