人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

内藤邦雄の「mid NAITO cafe ~ミッド ナイト カフェ~」

伝えるということ

白梅や誰が昔より垣の外(しらうめや たがむかしより かきのそと)

これは江戸の俳人、与謝蕪村の句です。
はたして人はこの句をどう受け取るのでしょうか?
「白梅が咲いている。誰かが昔、垣根の外に植えたのだろう。」
たぶん多くの人がそう詠むに違いないでしょう。
しかし、この句を「白梅が咲いている。ずっと前から垣根の外で私のことを待っている人がいるはずだ」
と詠んだ人がいます。近代の詩人、萩原朔太郎です。
当時、正岡子規、高浜虚子中心とする文壇の主流派は写実主義のもと蕪村を高く評価していました。しかしその主流派に対し「おまえら、何にもわかってないなあ」と真っ向から反発したのが朔太郎の蕪村論「郷愁の詩人 与謝蕪村」です。当然、主流派からの猛反発を受けながらも、朔太郎は「本当にわかってないな」とばかりに反撃するから、大変な論戦となってしまったようです。

前置きが長くなりました。
現在弊社では翻訳やweb制作、印刷など、言葉や文章を扱う仕事をしております。
当然、文字やデザインで相手(対象ユーザ)に情報を伝えなくてはなりませんが、これがなかなか難しいのです。
たとえばカタログ制作のばあい、コピーやデザインなど限られた制約の中でどうやって正しく企業情報を伝えるかが、そのカタログの本当の価値となります。
私が「伝えること」を意識する場合、2つの伝え方を考えます。
・頭に伝える
・心に伝える
間違ってはいけない情報は頭に伝えるため、ストレートな表現方法を使用します。
またそれだけではユーザの印象に残りませんので、「心に伝える」情報もあわせて検討します。目的にあわせこの2つの方法を組み合わせながら構成していきます。

冒頭にあげた「白梅や・・・」の句を朔太郎は「恋の句」と詠みました。
朔太郎は自身の論文の中で「芸術作品にとって作者は夢遊病者のようなもの。作品は受け手によって命をふきこまれる」と語っています。朔太郎は「白梅や・・・」は「情景描写の句」でも「恋の句」でもいいのだといいたいのです。読者が自由に想像力をもってして詠むことこそが大事なのだと、彼はいいたかったのだと思います。

同じ言葉を扱う分野でも文学とビジネスの違いはそこかもしれません。
作り手(作者)と受け手(読者)のそれぞれの評価が成り立つ文学に対し、ビジネスの場合は作り手(企業)の意図が的確に受け手(ユーザ)反映しないといけません。
自社のカタログやホームページがいろいろなユーザに正しく伝わるかどうかもう一度確かめてみてはいかがでしょうか?

カルテモ通信へのご意見、ご感想は info@cultemo.com まで
# by cultemo | 2004-04-14 18:38

今年も桜が満開に

桜を見ると12年前の自分を思い出す。
私は桜のこの季節「今年はちゃんとしたお花見が出来るのだろうか」と考えるとともに、なぜか感傷的になってしまう。昨年「サクラ」をタイトルにした歌がはやったが、日本人は桜には格別の思いがあるのだろう。短いうちに満開となり、そして散っていく、そのイメージに加え、やはり私たちは桜を見ながら笑い、そして泣いてきた季節の象徴なのかもしれない。

私が社会人になったのは今から12年前の1992年。ちょうどバブルの最期の頃だ。少しずつ世の中が変わりだした頃、満開の桜の花を見ながら新人研修を受けたことを思い出す。あれから12年まさに失われた10年といわれた時代にかけだし社会人として生きてきたわけだ。不景気といわれたが、それしか知らない私には、そのことが普通でもあった。いろいろなことがあったが、とても大切な時間をすごしてきたと思う。徹夜の仕事が続いたこともあった。結婚もしたし、病気になって会社を長期欠勤したこともある。また何よりも2年前、社会人ちょうど10年にして独立を決断した。いま、サラリーマンではなくなったが、社会人ではあり続けるわけで、少しだけあの頃と違った気持ちでこの季節を迎えているような気もする。

桜を見ると12年前の自分を思い出す。
期待一杯のあの頃の自分。やたら熱かった(今でも?)自分を懐かしく思いだすとともに、やる気がわいてくる。
「よし、今年もがんばろう!」
そして来年も満開の桜の下で花見をしよう!

カルテモ通信へのご意見、ご感想は info@cultemo.com まで
# by cultemo | 2004-04-02 18:34

「カルテモ」社名の由来

皆様、こんにちは。
カルテモプランニング代表の内藤邦雄です。

よくお客様に「カルテモ」の社名の意味を聞かれることがあります。
「カルテモ」とは「カルチャー アンド エモーション(Culture & Emotion)」から作った、造語です。

2002年6月、私は10年務めたある会社を退職し独立しました。
すばらしい会社でとても愛着があったのですが、若い頃から私が思い続けた「独立して文化と感動にかかわる仕事をしたい」という気持ちが強くなり、独立を決心しました。その会社に対しては、私を育てていただいたこと、助けていただいたこと、そしてわがままを許していただいたことすべてに感謝しております。

独立後、しばらくはフリーランスで仕事をしていましたが、「屋号をつけた方がいい」と思い、散々悩んだ結果、独立の気持ちを持ち続ける思いをこめ「カルテモ」としました。
「カルチャー」はすぐに決まりましたが、感動については「インプレッション」ではなく「エモーション」としました。「心を大切にしたい」と思うからです。

よく間違えられたり、聞き取りにくいようだったりしますが、なるべくはっきりと「カ・ル・テ・モ」というようにしています。
いつの日か、世の中に「カルテモ」という言葉が一般的になる日を夢見てがんばります。

今後とも「カルテモプランニング」をよろしくお願い申し上げます。

カルテモ通信へのご意見、ご感想は info@cultemo.com まで
# by cultemo | 2004-03-25 18:30

翻訳とローカリゼーションの株式会社カルテモの 社長 内藤邦雄 が日々考えたことを語ります