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内藤邦雄の「mid NAITO cafe ~ミッド ナイト カフェ~」

ハーフマラソン出走記 (1)

「今度長野の小布施というところで、ハーフマラソンに出るんですけど、よかったらKENNYさんも一緒にどうですか?」
はじまりは、公私共にお世話になっているホテルアイビスのKさんのひとことだった。
「ハーフマラソンですか・・・?」と私。
「小布施近くの風景館という230年以上もつづく旅館と縁がありましてね、今度提携することになったんですよ。」
「ほお、いいですね。」
「旅館もとってもいいですから、応援団でもいいですよ。(笑)」とKさん。
そんなやり取りから1ヶ月ほどたち、Kさんから仕事のメールの後に、「マラソンの申し込みは5月までなのでお願いします」と書かれていた。
そこで「やってみるか」との無謀な決断で参加を決めたのであった。

思えば今年で36歳。これでも高校時代(20年前)は野球部でがんばっていた。でも現在、運動は草野球くらい。毎日デスクワークが多く、どうしても運動不足になりがちな日々を送る私には、21.0975km を走るということはあまりにも危険すぎる。妻も「保険に入りなさい」ととても現実的な応援の言葉をかける日々です。
「まあ、まだ2ヶ月あるし、少しずつトレーニングすれば・・・」と思い、20年間で20kg増えたおなかをさするのであった。

そんなこんなであっという間に1ヶ月がたち、当然のごとく何もしていない自分がいて、「やっぱり保険に入りなさい」と妻は相変わらず温かい応援の言葉。とりあえずスポーツ用品ショップに行き、ジョギングシューズを購入。
実は私には昔から突然思い立ってトレーニングを始める習慣があった。たとえば野茂英雄投手のメジャーでの活躍に感化されたり、久しぶりに映画「ロッキー」をビデオで見てしまったりすると、突然近所をランニングしたりした。しかしこの年になると走るのはあまりにも危険なので近所を歩くことからはじめた。私にとってウォーキングは初めての経験。
歩いてみて初めて「これはなかなかいいな」と思った。30分走るのは大変なことだが、1時間歩くのは結構いけるのである。またここちよい疲労感で寝付きもいい。とにかくなんとか週3回くらい歩くようするうちに、大会が近づいてきた。本当は10kg減量しようとしていた体重も、まったく変わらず、のこり1週間。そうなると「やっぱり急に生活習慣変えるのはむしろよくないよな」なんて自分に都合のよいことばかり考え、結局何もしないまま出発の日を迎えるのであった。 (つづく)

ホテルアイビスホームページ
http://www.ibis-hotel.com/
風景間ホームページ
http://www.fukeikan.co.jp/

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# by cultemo | 2004-08-07 18:56

さらば青春の「半チャンラーメン」

東京東側にKという街がある。
その街で私は育った。いまでこそ、都心に近いちょっとおしゃれな街なんていわれているが、私が幼いころはとてもそんなイメージの街でなく、漁師街の趣の残る古い地域とマンションだらけの新興住宅街が混在する変わった街だった。

そんな、Kという街の駅前にHというラーメン屋さんはあった。私がはじめて行ったのはいつのころだったろうか?とにかく私は物心ついたときからHで「半チャンラーメン」を頼み続けていたのである。
「半チャンラーメン」とはラーメンに小チャーハンがセットになったもので、最近こそいろいろな店で「半チャンラーメン」という名称をよく聞くが、あのころ(約20年前)に「半チャンラーメン」という言葉は一般的であったのかどうか疑問である。だいたい、「半チャーラーメン」でなく「半チャンラーメン」というところがかわいいではないか。それはともかく、私は20年近くこの「半チャンラーメン」を愛し、食べ続けてきたのである。野球部の厳しい練習に明け暮れた高校時代、酒と競馬に明け暮れた浪人、大学時代、いつもそばに「半チャンラーメン」があったのである。また一応国文学を専攻した私が尊敬する井上靖先生の死亡のニュースを知りえたのもこのHで「半チャンラーメン」と一緒だった。ちなみに衝撃のあまり大事なテストに遅れてしまった。
とにかく社会人となり、Kという街を離れてもときおり戻っては、「半チャンラーメン」を食べていた。

ところが先日、今も両親が生活するKを訪れた際、ちょっと時間があったので「最近半チャンラーメンたべてないなあ」と独り言を言いつつニマニマしながらHに向かった時、私はその悲しい現実を知ったのである。そうHが閉店していたのである。店自体がなくなっているその姿をみてしばらく呆然としてしまった。
最近Kの街にはいろいろなラーメン屋さんができ、その中の数件はマスコミなどでも紹介されているようだが、まさか20年通い続けたHがつぶれるとは、ショックであった。
半年くらい前、友人とKで酒を飲んだかえり、「うまいラーメンがある」といって一緒にいったのが最後になってしまった。しかもすっかりおじさんになった私はその時「さすがに半チャンラーメンは食べられない」などと言って、ラーメンしか食べなかったではないか・・・・・。
でももう「半チャンラーメン」は食べられない・・・・・。悲しみと寂しさが私をつつみ初夏の日は暮れていくのであった。

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# by cultemo | 2004-07-09 18:55

何をやっている会社か?

カルテモプランニングは昨年、すなわち2003年1月に創業しました。
当然、法務局に登記をするのですが、その際、会社の定款というものを作成します。
定款には出資者などの会社を設立するためのいろいろな情報を記載するわけですが、その中に事業の目的という項目があります。これはカルテモプランニングは何の商売をするのかということを明記します。ところがこれが意外と悩ましいのです。物の本によると商業目的の不備による登記のやり直しなどが結構あるようです。

「それで、あなたの会社は何をやっている会社なの?」という質問は私がサラリーマン時代よくきかれた質問でした。当時「テクニカルライティングとローカライズの会社」で営業をしていた私は新規のお客様に自分の会社と説明するのに非常に苦労したものです。10年前ですと「テクニカルライティングってなに?」と聞かれ「マニュアルとかカタログとかを作ってます」と答えると「印刷会社ね」といわれ、「ローカライズって?」と聞かれ「海外の製品とかドキュメントとかを日本語化する仕事です」というと「翻訳会社ね」といわれます。事実、「印刷会社であり、翻訳会社である」会社でしたが、どうもしっくりいかなかった思い出があります。

さて、カルテモプランニングの事業目的ですが、実は記載する表現も複雑でした。たとえば「翻訳業」はOKでも「教育事業」はNGです。「教育事業」では「何の教育か」を明記しないといけないとのことですが、「何の翻訳か」は明記しなくてもいいようです。正直いって私には、その基準の法則性は見つけられませんでした。そこで私はとった方法は、「事業目的のサンプル集にある関係しそうな項目をすべて記載する」方法でした。結局そんなこんなで12項目の事業目的を記載することになりました。

「それで、あなたの会社は何をやっている会社なの?」
もちろんこの質問はいまでも多くいただきます。
最近ではこう答えるようにしています。
「翻訳、HPや印刷物の企画制作とそれにともなう各種サービスです」
と答えるようにしています。
なるべくシンプルにわかりやすり表現を心がけております。

ちなみにカルテモプランニングの12の事業目的はすべて実践されていないものもあります。これから少しずつ、いろいろな可能性や創業の夢にむけ展開していけたらと思っております。
今後ともカルテモプランニングをよろしくお願い申し上げます。

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# by cultemo | 2004-05-26 18:53

いとしのワンタンスープ

1年ほど前からだろうか、私はワンタンスープに恋をしてしまった。
中華料理店で出てくるワンタンスープももちろん好きだが、私が恋焦がれているのはインスタントのワンタンスープである。いわゆる「マルちゃんのワンタンスープ」というカップ(小どんぶり)のインスタント食品だ。
彼女との最初の出会いは、遠く子供の頃にさかのぼる。というよりはっきり覚えていない。ただ、いつもお店の棚においてある、自分とは縁のない食べ物、という印象しかない。大食漢の私には小さく地味なワンタンスープよりビックカップのラーメンのほうがはるかに魅力的に移っていた。しかし年齢を重ね、それほどたべられなくなってきた1年前、ちょっと小腹がすいた自分の目に、懐かしいその姿を見つけたのである。
「ワンタンスープかあ・・・。うーんっ、飲んでみよう!」思わず私はワンタンスープを手に取っていた。
そそくさと家に帰り、早速お湯を注ぎ、待つこと数分。ふたを開ければ、あたたかな湯気の中から、ぷりぷりのワンタンが顔をのぞかせる。スプーンにとって口にすれば、ワンタンのツルーとした食感とともに鶏がらスープのこらえようのないうまみが胃に流れ込む。その瞬間、私のまぶたに天使が舞い降りたような気がした。
それは学校の同窓会で何年かぶりに再会した幼馴染の女友達が見事に美しく成長していたという、例のアレだ。残念ながら実生活ではそのようなことを体験したことはないのであるが、その日から私はワンタンスープに恋をしてしまった。5個6個と買い置きしていたのに飽き足らず、最近では思わず幕張のコストコというホールセールで箱で買ってしまったりする。また私がワンタンスープを買おうとしていたらどこかのご夫人が「このワンタンスープって、ちょっとお腹がすいたときとってもいいのよね」なんていっているのを聞くと、同志を得た喜びとともに軽い嫉妬すら感じる今日この頃だ。
昨年、草野球で合宿をしたとき、夜食用にと数個買い込んで行ったのであるが、わがチームの若い衆が「誰がこんなの食べるんですか?」なんて失礼なことをいったのである。「ふんっ、君たちがこのワンタンスープのよさを知るには10年早い」などと言って思わず、ワンタンスープへの愛を力説してしまった。
というわけで、ご存知の方も多いと思いますが、ワンタンスープ、一度お試しあれ。

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# by cultemo | 2004-05-07 18:41

伝えるということ

白梅や誰が昔より垣の外(しらうめや たがむかしより かきのそと)

これは江戸の俳人、与謝蕪村の句です。
はたして人はこの句をどう受け取るのでしょうか?
「白梅が咲いている。誰かが昔、垣根の外に植えたのだろう。」
たぶん多くの人がそう詠むに違いないでしょう。
しかし、この句を「白梅が咲いている。ずっと前から垣根の外で私のことを待っている人がいるはずだ」
と詠んだ人がいます。近代の詩人、萩原朔太郎です。
当時、正岡子規、高浜虚子中心とする文壇の主流派は写実主義のもと蕪村を高く評価していました。しかしその主流派に対し「おまえら、何にもわかってないなあ」と真っ向から反発したのが朔太郎の蕪村論「郷愁の詩人 与謝蕪村」です。当然、主流派からの猛反発を受けながらも、朔太郎は「本当にわかってないな」とばかりに反撃するから、大変な論戦となってしまったようです。

前置きが長くなりました。
現在弊社では翻訳やweb制作、印刷など、言葉や文章を扱う仕事をしております。
当然、文字やデザインで相手(対象ユーザ)に情報を伝えなくてはなりませんが、これがなかなか難しいのです。
たとえばカタログ制作のばあい、コピーやデザインなど限られた制約の中でどうやって正しく企業情報を伝えるかが、そのカタログの本当の価値となります。
私が「伝えること」を意識する場合、2つの伝え方を考えます。
・頭に伝える
・心に伝える
間違ってはいけない情報は頭に伝えるため、ストレートな表現方法を使用します。
またそれだけではユーザの印象に残りませんので、「心に伝える」情報もあわせて検討します。目的にあわせこの2つの方法を組み合わせながら構成していきます。

冒頭にあげた「白梅や・・・」の句を朔太郎は「恋の句」と詠みました。
朔太郎は自身の論文の中で「芸術作品にとって作者は夢遊病者のようなもの。作品は受け手によって命をふきこまれる」と語っています。朔太郎は「白梅や・・・」は「情景描写の句」でも「恋の句」でもいいのだといいたいのです。読者が自由に想像力をもってして詠むことこそが大事なのだと、彼はいいたかったのだと思います。

同じ言葉を扱う分野でも文学とビジネスの違いはそこかもしれません。
作り手(作者)と受け手(読者)のそれぞれの評価が成り立つ文学に対し、ビジネスの場合は作り手(企業)の意図が的確に受け手(ユーザ)反映しないといけません。
自社のカタログやホームページがいろいろなユーザに正しく伝わるかどうかもう一度確かめてみてはいかがでしょうか?

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# by cultemo | 2004-04-14 18:38

翻訳とローカリゼーションの株式会社カルテモの 社長 内藤邦雄 が日々考えたことを語ります

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